2013年9月5日木曜日

読者さんからの感想 同人誌「ひだまり」「恋々綺談」ほか

[池戸屋騒動様より]

●先日は4冊の同人誌、とても丁寧な包装で送っていただき、どうもありがとうございました。連日の雨の中で配達されたので封筒は湿っていましたが、おかげ様で本は(お手紙も)全く問題ありませんでした!。今回は、その同人誌の感想をお届けさせていただきます。

 「ひだまり」

チンピラの舎弟として荒んだ生活を送る和彦と豊。
突っ張って自分から距離を置いていた豊が和彦に懐いて、少しずつ親密さを増す様子
が凄く可愛らしかったです。
まるで和彦の足元にじゃれ付きながら、尻尾を振ってついて来る子犬のようで。
だから豊が鰐淵に関係を強いられる現場を見てしまい、守ってやりたい心境とは裏腹
に汚い物に触れるような態度をとってしまう和彦が切なくて。
それ以上に、軽蔑されたと思い込む豊の気持ちを考えると無性に悲しくて。
でも鰐淵も憎み切れないキャラですよね。
ラーメン屋のテレビの一件で、彼の中の優しさが垣間見えたようで。
きっと鰐淵も、豊と似た経緯でヤクザの世界に踏み込んだのだと想像しました。


「ひだまり~それから~」

身を潜めながらも穏やかな日々を過ごしていた和彦が、鰐淵とバッタリ会ってしまっ
た時、なんでそんな店に入ったのォ?!と、私もドキドキでした。
なので「ごくろうさん」と声を掛けてきた彼に、やっぱり鰐淵はイイ人だったんだ
~!と安心した私は思わず嬉し泣きでしたが、
その言葉の真相を知って愕然としました。
和彦を守ろうとしたのに、3か月の約束を知って責められる豊がとても可哀そうで、
でも大好きな豊と幸せに暮らしたいのに、思うようにならない和彦の焦燥も分かる切
ないお話。
そんな時に、親父のオンナに手を出して…なんて、鰐淵を詳しく知らないのに彼らし
いと思えるのが不思議です。
そのおかげで結局二人は…。
鰐淵のイイトコ取りで終わった感じで、やっぱり憎めない人?なのかも(笑)
更に池戸先生が、和彦と豊の関係や今後について記してくれていないあたり…
さぁこれから!という若い二人が、今までとは違う、夢も希望もある未来へ歩んでい
く姿が示唆されているようで、スッキリと、とても気持ちの良い終わりですね。
「ひだまり」というタイトルも、和彦にとっての豊、豊にとっての和彦、お互いの存
在をピッタリ言い表しているように、読み終えてから感じました。


「涙の魔法」

ひだまりの2冊を読んだ後に続けて読んでしまったので、つい和彦・豊と比べてしま
い…頼行と智の悩みなんてカワイイものだなと思いながら読みました。
それでも徐々に心配になる雲行き。
そして決定打!
作品展でモデルがバレた時の二人にはショックでした。
だって巨乳マネージャーの件もあって頼行への不信が芽生えていたところへ、その頼
行から「作品を仕上げるほどに智を見た」なんて嫉妬めいた言葉をぶつけられたんですか
ら。だったら普段から、もっと智の気持ちに応える行動をとってあげれば良いのに!
しかも智も智。他人だなんて見苦しく誤魔化して、その裏工作に奔走したり。
そんな事するから高階先生に迫られちゃうのよ!
高階先生にハァハァと迫られた次には倉敷にハァハァと迫られ…私にはツボでしたが☆
でも、そのおかげで頼行の誤解も解けたんですからね。
「二度あることは…」のことわざを忘れていたという智クンに、
「怪我の功名」ということわざを知っているかい?と聞いてみたくなりました。
それにしても、どんだけイイカラダなんでしょう、智クン。
嗚呼!挿絵が欲しかった~!
作品展会場の正面をドーンと飾ったという、ギリシャ彫刻のようなその絵を見たかっ
たわぁ~!(泣)。

ところで頼行の、智が相手じゃ達けない理由。
当人たちも気付けないのに、あの相沢から教えられるというのが、また何とも…。
智を相手にデキないどころか、キスマークを付けるのさえ迷っていたのを思い出し、
ここでやっと納得です。
そして頼行!
おとなしくて先輩への礼儀第一で、体は大きくてもケンカはからっきしなハズだった
のに…
ケンカは強いし、先輩の言い付けに背いて試合前にHしちゃうし、しかも情熱的に囁
いて2回目突入…
「涙の魔法」で人柄まで変わっちゃう頼行。
智だけの涙に反応して能力発動する、智だけのスーパーヒーローみたい。
このお話は、意外な真実が小出しに出てきて、最後まで楽しい作品でした!

※同人誌への感想までいいだきまして、ありがとうございます。「ひだまり」シリーズについては、ひょっとしたら今なら書ける設定かもしれませんね。どうってことないチンピラと恋人が街の片隅でひっそり生きていくというお話。でも、当時はやくざも華やかさや派手さが求められたので、やっぱり
プロットは通りませんでしたねぇ。
「涙の魔法」は、小説アイスに掲載された作品です。本になっていなかったせいか読みたいという読者さんのリクエストが多かったので、同人誌に再録させていただきました。雑誌の方では佐々成美先生のイラストがすごーく可愛くて、お見せできないのが本当に残念です。頼行みたいなタイプは、実は私はあまり書く機会に恵まれなかったので、そういう意味でも大切な作品です。


●前回に続き同人誌、「恋々綺談」の感想です。
「池戸先生ごめんなさい、もう分かっちゃった。加奈はもう、死んでるんですね?───」
そんなこと考えながら、洋館で再会した透が加奈について口ごもる場面を読みました。
洋館で涼が、透への復讐というイタズラを思いつく辺りまでは、
もしや涼と加奈、男女の恋愛物語なの?!と、半分本気で思っていました。
また後半で透が涼に全てを告白した後の「もう二人の前には姿を見せない」の言葉に
は、あぁ、嫌な思い出のあるこの街を出て行くんだなぁなんて、呑気に考えていました。
怪談モノだし文庫より短い内容だし、展開を簡単に予想できてしまうかと思っていた
のですが…全然そんな事はなく、むしろ予想に反して進む話、意外な結末。
読み終わると溜息が出たほどにしんみり感が残りました。


池戸先生の作品は世界観が鮮明に浮かんできますと度々お伝えしていますが、
始めに出てくる洋館と空の風景の、幻想的で不気味だけど綺麗な雰囲気が、伝わってきます。
話が進む中で何度か変わるその景色は、どれも感じは違うのにとても綺麗な印象で。
そして最後、実はそれほど時間が経っていないと思わせられる空の色に、
全て終わったんだと寂しくも何となくホッとした、その直後!
真実が明かされ、涼が自分の気持ちに嘘をついた過去に、激しく後悔する姿が…
ヤラレました、池戸先生!
悲しいです。
透も涼も可哀そう!。
更に読み直すとストーリーが分かっているため、涼と再開した透の「元気そうだね、涼ちゃん」だけで涙が零れてしまいました。
途中途中も涙しながら、読み終われば大きな大きな溜息でした。
他の作品の世界を楽しんで切なさが薄れた頃、また読み返してみますね。

※同人活動休止前の、一番最後に書いた作品かな。短いものですが、楽しんでもらえたなら嬉しいです。私自身、とても気に入っています。やはり同人誌では商業誌で書けないものや注文のないものを中心に書いて、ストレス解消していたようなところがあります。商業誌では、ほとんどの場合、ハッピーエンドが求められるので、この作品も同人誌ならではです。感想掲載の許可はいただけなかったのですが、ほかにもお手紙くださった方が何人かいらしたので、とても嬉しかった思い出が・・・。
情景描写、池戸屋様にいつも励ましていただいているので、今後も精進いたします。

[あゆこ様より]

『人魚の夏』を古本屋さんで見つけて購入しました。ずいぶん前に出された同人誌みたいですね。正直に言いますと商業誌の方はそれほどたくさんまだ読ませていただいていないのですが、この同人誌の作品が今のところ一番のお気に入りです。
なんだろう。小説なんですが詩的な雰囲気で、登場人物の具体的な描写とか名前がはっきりでていないのに、映像でくっきり浮かんでくるんですよね。ほかをさがしてもあまりない作品のような気がしています。なので、出会えたことに感謝です。

※池戸屋様からの同人誌の感想が招いてくださったように、これもまた懐かしい同人誌へのコメントをいただきました。この作品は商業誌の方でいつも求められる美形描写(?)を意識して外すことをしたくて、書いたものです。そういうのがなくても伝わるものはあるよねという気持ちで。
あゆこ様とほとんど同じ感想(商業誌作品よりもこの作品の方がいいという)をイベントで寄せてくださった方がほかにもいらっしゃいました。書いた甲斐があったと嬉しかった記憶があります。












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