[池戸屋騒動様より]
●今回は 「人形は恋に堕ちました」 を読ませていただきました。
●今回は 「人形は恋に堕ちました」 を読ませていただきました。
ちょっと不思議なお話でした。
池戸先生のたくさんの作品と出会い、その度に作品の世界にどっぷりと浸かって号泣したり笑ったり。
ところが今回は、なかなか世界に入り込めずに困惑しました。
人間×アンドロイドという設定のせいか、草薙にもフランツにもなかなか感情移入できずに
淡々と読み進んでしまいまして。
淡々と読み進んでしまいまして。
これはいかんと、津野を襲ったフランツのけじめ云々の辺りで中止。始めから読み直しましたが、
研究棟内の様子やフランツお気に入りの公園など、風景ばかりが益々鮮明に想い浮かぶばかりで、
やはり草薙とフランツの想いには近付けていないと感じました。
王子様とご主人様では私は王子様タイプ派なので、先にご主人様タイプが登場したからかもしれませんし、哀しいかな年のせいで、SFや未来世界といったものに対し鈍感になっているのかもしれません。(笑)
それでも王子様フランツと草薙を人間同士と考えながら読むと、
例えば心を持ったフランツが草薙を愛しているとの話を津野が確認しようとする三角関係めいた場面や、切ないほどに草薙を求め慕うフランツの姿、そして津野事件後の久々の再会に喜ぶフランツと別れを決意した草薙のやり取りなど、グッとくるシーンは幾つかありました。
一方のご主人様なフランツ編にしても、パートナーを 「救いようがないくらいに男みたいな女に設定」 したり、胸がないと気付いた瞬間のフランツなど笑えるポイントもあれば、
「まるでホラーだった」 という一時的に故障したフランツの様子は、読んでいてゾッとしたりと楽しめました。
一瞬の電気障害がフランツの意識の覚醒を明確にする起爆剤となり、ただの横暴なご主人様だったフランツが草薙を激しく求めるようになったのかなと考えると、フランケンシュタインの話が思い出されました。
でもご主人様フランツが草薙に迫るシーンは、横暴タイプのアンドロイドを相手に草薙はどうなってしまうのだろうか、暴力を振るわれなければ良いけれど、などと変にハラハラしながら読んでいたので、あまり楽しめませんでした(涙)
という訳で私は紳士的に優しく求めてくれる王子様フランツが良いのですが、どうも草薙は最後まで、オレ様フランツが忘れられなかったようですね。
だからきっと、草薙に共感できない私は作品世界に浸り切れなかったのかもしれません。こうして感想を書いていて気が付きました!
※何度も読み直したりと、楽しもうと努力してくださったこと、とてもありがたく思います。
作品によって入り込めないものがあっても当然なので、気軽に読んでくださればいいですよ。
特にこのお話はご主人様と王子様と二つのタイプがフランツのなかに存在するので、
池戸屋さんのような感想を抱かれた方も多いのかもしれませんね。
私自身はそのあたりを含めて楽しめてしまうわけですけれど。
※何度も読み直したりと、楽しもうと努力してくださったこと、とてもありがたく思います。
作品によって入り込めないものがあっても当然なので、気軽に読んでくださればいいですよ。
特にこのお話はご主人様と王子様と二つのタイプがフランツのなかに存在するので、
池戸屋さんのような感想を抱かれた方も多いのかもしれませんね。
私自身はそのあたりを含めて楽しめてしまうわけですけれど。
●今回は、「千三堂へようこそ」と続編、「王子のくちづけ」を読ませていただきました。
☆千三堂へようこそ
まず題名とあらすじ、そして表紙の2人の何にでも興味を持って首を突っ込みそうな表情から、
この2人が買い取り品にまつわる何かに巻き込まれながら展開する話だな、と思いました。
それもドタバタした、コメディーっぽいと勝手な予想にワクワクしながら読み始めましたが
───
大変なドラマが待っていました!
◇涙のマリア◇
2人が持つ常人にはない「力」、同じ場所の傷、海里を愛しているのに「一生、伴侶は持たない」という建比古の真意と、「時間がない」という言葉の真相・・・
巻き込まれた出来事を解決に導きながら、次々に登場する謎が明らかになっていく中で、
海里と建比古の絆や愛がこんなに深いものだったのかと感じました。
最後まで常にどこかに謎があり、そのせいで手探り状態で読み進んだ気もします。
蓉子と海里は、病気のことも同情や憐れみだったことも痛ましいお話でしたが、その真相が分かってから、
昌也が紗由美と海里を会わせまいとする頁に戻ってみました。
僅かなシーンの中に、大切な兄貴の心情を思いやる昌也の動揺と奮闘振りを楽しめました。
建比古の27歳の運命の夜は、とてもとても切ないものでした。
そしてとうとう心の奥底から2人は結ばれ、良かった!と思ったのも束の間。
能力を増した建比古が見た、2人の近い将来の姿には一気に呆然とし、
そのまましばらく固まってしまいました。
それでも幸せそうな海里と建比古に・・・泣きました。
◇紅茶の時間◇
海里と建比古の愛が確かなものとなったからこそ、
長谷川と天野の関係にここまで関われたのだと思いました。
暗い山道で斜面を滑落した海里の、建比古の行動を読むシーンでは、
2人の愛と絆の深さを一層強く感じました。
強い愛を手に入れた2人が、
愛に臆病でお互いに肝心な一歩を踏み出せない2人を救ったんだね。
読み終わって、そんなことを思いました。
隣のじいさんとも更に少しだけ打ち解けて、件の花を分けてもらえたことでしょう。
☆王子のくちづけ
海里と建比古の愛と絆に不安要素がなくなったので、その点では最初安心して読めました。
◇雛の庵◇
海里に似る治弥が作った、建比古に似る人形達。不気味な使用人。天神の杯・・・
次々に登場するミステリアスなアイテムで、話の中にグイグイ引き込まれていくのを感じました。
エスカレートしていく慶春の態度には何をするか分からない恐さが常にあり、それだけに建比古を守ろうとする海里の姿が印象強かったです。
特に別荘に着いてすぐ建比古を介抱する海里の一心不乱な様子は、まるで目の前で繰り広げられているかのようでした!
すべて解決した後に建比古が新たに抱えた不安と、何があっても大丈夫と思わせてくれる海里の言葉に、
ホ~ッ と安堵の溜め息を吐きながら読み終わりました。
◇王子のくちづけ◇
読み始めてすぐ、あぁ良かったと思いました。
この話が現在進行形ではなく、海里と建比古が戯れながらの昔話として進むようだと分かったからです。
楽しそうに昔を振り返る余裕があるということは、2人の身辺は現在平和、ということですからね。
私も楽しく、2人の昔話を覗かせてもらうつもりで読んだのですが、
このシリーズは常に、「建比古が海里を守る強い愛」がテーマなのですね。
催眠に掛かった建比古の、口にはできない深い想いを抱えたまま、敬愛する主をどこまでも守ろうとする姿が、とても切なかったです。
読みながら、カイとレイヤが浮かんできたほどに。
夜中の刺客からも身を挺して守ろうと、海里を抱いて眠る建比古がイイ~!
佐野と黒崎が絡んで更に、心温まるお話になったと思います。
ちなみに建比古が口づけられて気を失ったのは、あまりに畏れ多過ぎたショックか、目覚めるための過程だったのか…と、ヘンなところが気になっていますが、どちらでしょうね。
ちなみに海里か建比古かと聞かれたら、池戸先生と同じく結婚するなら海里です。付き合うなら建比古も良いけど、キスしてもらえないんじゃ…(笑)
※私にとっては忘れられないシリーズです。海里と建比古の二人は私にとっては理想の恋人に近かったということもあるし、完結させたかったのにいろいろ事情があってできなかったということもあります。
ラストに向けて考えていたお話もあったのですが(このあとの雑誌作に出てきた大道寺がかかわってくるというような)。私の力不足も原因なので、しかたがないです。時々、続きがあるのかとの問い合わせをもらいます。雑誌掲載作で本になってないものがあります。
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