[池戸屋騒動様より] いつもありがとうございます!
●今回は「オアシスの檻」を読まさせていただきました。
池戸先生の作品にしては艶めいたシーンが多く、でもガツガツしていないので、
心地良いドキドキを感じました。
これまでに読んだ多くの、池戸先生のどの作品とも雰囲気が違い、
まるで他の先生の本を読んでいるみたいで。
それでも作品の世界観が想像し易いところは、さすが池戸先生!
要所要所に出てくる童話の巨人は浅倉自身であり、外見に惑わされずに自分の本質を知って欲しいという願いが込められているように思えました。
だから辛い生い立ちと暗い過去を背負い誰にも心を開けなかった浅倉と、そんな彼の魅力的な本質や隠された真実を見抜く三春が、当然のようにゆっくりと激しく惹かれ合っていく様子が描かれていて、
とても温かく切ないお話でした。
浅倉雅人と松崎栄の真実を語る浅倉と、その嘘さえ見抜いた三春。そして本当の真実が語られたとき、本当に二人は心から結ばれ、お互いが安らぎの場になったのだと思います。
「HEAVEN」は、お互いに愛が深まったばかりに気を遣いすぎたり嫉妬したり、すれ違いが多くて哀しいお話でした。森の家に帰ることで二人は落ち着いて、今度こそ幸せに…と思っていたので、
松岡と三春の電話で勘違いした浅倉が取り乱した様子には泣けました。兄・雅人による束縛で辛い思いをしたのに、それを今度は愛する三春に強いるのかと思うと悲しくなりました。
松岡が八つ当たりのように二人の仲を掻き回したのにはすごく腹立たしい気分でしたが、
彼の出現により、更に浅倉と三春の理解や愛が深まったのも事実なので、
まぁ許してやるか…といった感じです。
どちらの作品も、最後のイラストが印象的です。
「オアシスの檻」
では、心から安らいでいる浅倉と、彼を温かく包み込む三春。
そして 「HEAVEN」
では髪に半ば隠れた横顔ながら、浅倉には頼もしさと力強さを、
三春には何の不安や迷いもなく、何があっても浅倉と手を取り合って生きていける自信を感じます。
どちらのイラストも辛い出来事や苦しい気持ちを乗り越えて、本当の幸せを手に入れた二人が見事に表されていると思いました。
※このお話は、ペンネームをかえて雑誌に書いたもので、そのためいつもと違う雰囲気のものにるよう意識して仕上げました。だからそれが少しでも成功しているようなら、とても嬉しいです。
最後のイラストが印象的だというのは、私も本ができあがってきた時、同じ感想を抱きました。
このシーンを指定してくれた編集さんとイラストの先生のおかげだと思っています。
それから、実はこのお話、ものすごーい誤字がありまして。
ちょっと事情があってデータで渡すことができずオペレーター(?)の方に雑誌に掲載したものをそのまま打っていただいたのですが、その後の校正を人まかせにしてしまったがために・・・。深く反省した一冊。
●今回読んだのは10年前の、面白い中にも深みのある作品でした。
「少年はわがままな恋の虜」です。
悪い噂が付いて回るという一天に
「え~? そんな人を呼んじゃったのぉ?!」と、思いながら読みました。
きっと森島と一天が裏で繋がっていて、良からぬ企てを進行中なんだ、と。
でも、一天に不安を抱く千尋にアドバイスする森島の優しさは、とても悪い人だとは思えなくて。
その森島と一天が、あんなふうに繋がっていようとは!
仕事のやり方は強引だけれど、そんな彼との出会いで千尋は日頃の頑張りすぎを自覚したり、
ゲームの代償に相談を持ちかければ、彼は励まし、勇気付けてくれる。
優しく力強く包んでくれるような、でも甘やかすのとは違う雰囲気に、
一天も千尋に本気で惹かれ、千尋や店のために力になろうとしてくれているのが伝わってきました。
そして高坂に会う話を持ち込まれたことでオーナーとしての意識が高まるなど、
千尋は一天により、大きく成長できたのだと思います。
それゆえ千尋も一天を好きになるという自然な流れの中で、一天は千尋に隠しているものが多過ぎました!真実を明かせず、想いも伝えられない。
けれど自分のやり方も変えられない一天と、彼を最後まで信じきれない千尋。
そして二人はすれ違い、離れてしまう。
日下のついた嘘のせいもあり、どんでん返しの連続。
見かねた森島から、親友のハルからも、すべてを明かされた千尋はどんなに嬉しかったことでしょう。
そして安心して緊張が解け、気が抜けてしまったかもしれません。
読者の私でさえそうだったのですから。
私にはホストクラブなんて、天地がひっくり返っても縁のない世界ですが、千尋と森島、そして一天。3人が支える店の繁盛っぷりが目に見えるようです。そんなロータスが「 読者様限定Night 」
なんてイベントを開催したら、間違いなく飛び込んじゃうんですけどね♪
そしたら池戸先生なんて、超VIPですよ☆
あぁ、憧れるぅ~!(笑)
※この作品は、イラストの先生に恵まれたということもありまして、けっこう読者さんには楽しかったとの感想ももらった記憶があります。もう10年も前なのですねぇ。私にとっては、ちょっと飛んだ設定かなーと戸惑いつつも書いた記憶もあります。現実のホストクラブは、たぶん、私が夢見ているようなものとは雰囲気が違うのでしょうが、それはそれでお話の世界でだけでも楽しみたいものです。
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