2016年4月11日月曜日

●新刊、出ました。現在、店頭に並んでいると思うので、ぜひとも読んでいただけると嬉しいです。

『灼熱王と薔薇の花嫁』
初めて書かせていただくレーベルです。講談社のホワイトハートさん。今、サイトに行くと試し読みができます。ショートストーリーも特集ページにおいてありますので、そちらに目を通していただければお話の雰囲気がなんとなくわかっていただけるかと。
私の場合、ヒーローは正統派プリンス系とワイルド系に分けられると思うのですが、最近出た本の王子様についてちょっと紹介してみますね。

『灼熱王と薔薇の花嫁』のサラジード
ワイルド系。幼い頃から王位を継ぐ者として弟とも明確に立場の違いを意識する形で育ったため、有能な王であることを常に意識している人。長年閉ざされてきた国の王様で鎖国派だったのが、ローズを知り、愛することによって考え方を変えることになる。彼にとってローズとの結婚は望まないものだったので、二人の関係は「帰れ!」「意地でも帰らない!」という最低ラインから始まります。

『復讐は甘い愛の香り』(春野リラの名前で書きました)のデューク
たぶん、ワイルド系。ただし庶民派──かな。親友を失った傷心を癒すため隣国に旅をし、ジョアンに出会います。そういえば、このお話はジョアンも王女ではなく森番の娘ですね。親友が可愛がっていたジョアンを救うため、自ら憎まれ役を買って出る優しさと男気のある人です。ほかのヒーローに比べると華はないのですが、裏表のない誠実さが私的には好みです。彼はジョアンの気持ちが親友に向いていると考え、秘かに苦しむことになります。

『公爵様の溺愛ハネムーン』のオリヴィエ
プリンス系。クール系ではなく甘甘スイート系です。一夫多妻的考え方のもと、育てられたヒーローが相手だとヒロインはどうするだろうと考えたところからできたお話です。夫婦ともに愛人を持つことを推奨する(=よりたくさんの人を愛し、愛されるのは本人が魅力的であることの証明)両親に育てられたオリヴィエです。でも、ご安心ください。リリアを妻にしてからは、浮気などはしませんので。できないのです。そんな気にならないのです。リリアが一番だから。でも、本人はそうした自分の気持ちの変化に本当の意味で気づいていないため、生まれて初めて経験する嫉妬心に振り回されることに。剣より花を手にする方が好きと公言する人ですが、実は剣も国で五本の指に入る腕前。パーフェクトだけれど、育ちのよさからくるぽやぽやっとした天然なところも持ち合わせている。出会った頃のまだずっと幼かったリリアを、自分が心の聖域でずっと大切に守り続けてきたのだと、彼は最後に気づかされるのです。


本でも映画でも、受け取る側が違えば抱く感想も変わってくると思います。だから、私は自分が読む側、見る立場に立った時は、ほかの人がどう思ったかはできるだけ気にしないようにして、さあ楽しむぞっと作品に向き合うようにしています。
できたら、私の作品と読者さんとの出会いもそんなふうであったらなと願っています。
あ、でも。この間、読者さんにも指摘されたのですが、ラブシーンについてはBLでもずっと言われ続けてきたように、私は薄いです。いえ、私としては精いっぱい頑張ってはいるのですが。面白い物語とともにその点もしっかり書き込んでいる作家さんはたくさんいらっしゃるというのに……。でも、手抜きしているわけではないので、これが私の作風ということで、お許しください。というか、それでもいいよという方が私の作品を手に取ってくださっているのかなと思います。ありがとうございます。

そうだ、もうひとつ!
今月、ヴァニラ文庫の『帰ってきた王子と忘れられた令嬢』のコミック版が出ます。15日です。漫画化してくださったのは、前作もお世話になりました黄上恵理先生です。私もまだ読んでいないのですが、『退屈王のお妃選び』の時も原作以上に面白くドキドキするお話に描いてくださったので、今から楽しみにしています。

仕事がまだ暗黒期を抜けておりません。光も見えたり見えなかったり。でも、毎作、これが最後の一冊かもと考えながら全力投球しています。一人でも多くの方に読んでもらえますように。